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大沢温泉(花巻温泉郷、岩手県花巻市)~日本の温泉情緒を求めて・東北編。

趣の異なったの3軒の姉妹旅館がある大沢温泉。多くの文人に愛された宿の冬景色は圧巻。
KEY WORD: 大沢温泉、湯治屋、菊水舘、山水閣、大沢の湯
マップ <大沢温泉
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花巻市の西側の山間に広がる「花巻温泉郷」に、一軒宿の「大沢温泉」があります。
一軒宿と言っても、豊沢川を挟んだ広い敷地内に、新館である「山水閣」、南部藩主の定宿であった「菊水館」、湯治場である「湯治屋(自炊部)」の3棟から成り、それぞれ趣の違った温泉宿スタイルなのが特長です。
大沢温泉 全景

車利用の場合、東北自動車道花巻南ICから約15分です。
公共交通機関利用の場合、JR東北本線「花巻駅」から岩手県交通バス新鉛温泉行きで約26分、大沢温泉バス停下車となります。また、朝夕には、新幹線「新花巻駅」、東北本線「花巻駅」との無料送迎バスも運行されています。

大沢温泉は、平安時代初期に坂上田村麻呂が発見したと伝えられています。江戸時代には歴代の南部藩主も利用しました。
また、宮沢賢治、高村光太郎らの文人もよく利用しています。宮沢賢治は農学校の教員時代に生徒を連れて訪れたこともあります。高村光太郎はこの温泉を「本当の温泉の味がする」と評しました。

大沢温泉の泉質は、アルカリ性単純温泉(低張性アルカリ性高温泉)。源泉温は、51.2℃です。(※ちなみに、「単純泉」とは、いろいろな成分が溶け込んでいて、その中で突出した成分がないという意味です。本来的には「複雑泉」と言った方が当たっているかもしれません。)
大沢温泉のpH値は9.0で、弱アルカリ性です。(※ちなみに、pH値は、pH0~14の範囲で、pH7の中性を基準として、高いとアルカリ性、低いと酸性であることを表します。pHは、最近は「ピーエッチ」と読むみたいですね。僕らは「ペーハー」と読んでましたが。)アルカリ性の温泉には、石鹸のようなクレンジングの作用があります。肌の汚れや角質を落としてスベスベにしてくれます。

大沢温泉の名物といえば、何といっても、豊沢川沿いに造られた混浴露天風呂「大沢の湯」です。
大沢の湯
四季折々の風景を愛でながら、大沢温泉の湯を堪能できます。
大沢の湯 雪

では、大沢温泉の旅館3棟をご紹介します。
尚、「湯治部」と「山水閣」は、屋内の階段廊下で繋がっています。「湯治部」と「菊水舘」は、豊沢川に架かる歩行橋「曲がり橋」で行き来ができます。
曲がり橋

▼湯治屋(自炊部) 
200年以上前の建物で、古き良き時代の木造湯治宿です。客室数は57室。最大227名の宿泊が可能です。
湯治屋

宮沢賢治ゆかりの宿で、古の温泉情緒たっぷり。心くすぐる懐かしさを感じさせます。
館内の廊下や、湯上り休憩室からもその雰囲気がうかがえるでしょうか。廊下を歩けば、ギシギシと音がします。
湯治屋 館内
湯治屋 湯あがり休憩室

湯治屋では、様々な宿泊スタイルが選べます。湯浴びを楽しむ素泊まりが基本で、その他は積み上げ算式の料金体系です。
部屋は、6畳一間が基本で、2間続きや少人数グループ用の20畳の部屋もあります。各部屋には、テレビ、冷蔵庫、お茶セットが備わっています。部屋の鍵は内鍵のみで外出時の施錠はできません。貴重品は帳場に預けます。

参考までに、1室1名で利用の場合、最低価格は2,157円~3,546円、2名で利用の場合、一人当り1,972円~2,435円(税別・入湯税別)です。※冬期間は、暖房具が瀬戸された料金体系になります。
寝具(布団)、アメニティ(タオル・歯ブラシ・バスタオル・浴衣)は有料です。夏季期間の扇風機や、冬季期間の暖房用具(コタツ・ストーブ)も有料です。普段利用している寝具や寝巻などを持ち込んでもOKです。

食事も宿泊者のご自由に。食材を買ってきて炊事場で作るもよし、惣菜や弁当を持ち込むもよし、売店で買うもよし、食事処で食べるもよし、です。
「共同炊事場」は無料で利用可。炊事に必要な調理器具・食器などが揃えてあり、ガス代以外はすべて無料で貸出し。ガス代はコンロにガスの自動販売機が付いており、10円で7~8分使用できます。
(↓参考までに、こんな機械です。)
コイン式ガス供給機

売店は、元祖コンビニ。日用雑貨からお土産品、納豆・豆腐・野菜から牛乳・ビール・調味料まで豊富な品揃えで、価格はリーズナブルです。営業時間は、7時~21時。

館内の「お食事処やはぎ」では、生ビールから定食・デザートまで品数豊富なメニューがあります。料金も大衆食堂並み。営業時間は、昼11:15~14:00、夜17:15~21:30。朝定食は予約制(7:30~9:00)。

「湯治屋」にある温泉風呂は、名物混浴露天風呂「大沢の湯」(入浴時間:5時~24時半※女性専用時間20時~21時)、女性専用露天風呂「かわべの湯」(入浴時間:6時~24時)、レトロなタイル張りの男女別内風呂「薬師の湯」(24時間入浴可能)です。
「菊水舘」、「山水閣」宿泊者も入浴可です。

「湯治」と聞くと、初心者にはちょっと敷居が高そうな気がしますが、食事付きプランや、寝具・アメニティー等がセットになった宿泊プランもあります。
レトロな館内を覗いてみると、「一度は宿泊体験したい」と思わせます。館内には演芸場兼体育館のようなホール施設やマッサージコーナー、コインランドリーもあります。
各施設は、菊水館、山水閣宿泊者も利用できます。



▼菊水舘
豊沢川を挟み、曲がり橋の先に佇む茅葺屋根の別館です。
菊水館全景
菊水館 茅葺き屋根棟

160年以上前の江戸末期から続く、南部藩主も訪れた、古き良き時代の残り香ただよう、時代宿です。建物の裏手の石垣には菊の紋の石組みがあり、そこから湧き水が出ております。これが菊水舘の名前の由来となりました。
豊沢川を挟んで建っていますので、正面玄関口も湯治部。山水閣とは離れた所になります。
菊水館 正面玄関

「湯治屋」とは、「曲がり橋」で結ばれています。
菊水館への曲がり橋
曲がり橋 菊水館側

菊水舘には、2階建ての木造別棟と、平屋建ての茅葺き屋根棟に全17室の部屋があります。
別棟1階の部屋<竹の間>は、8畳+6畳(二間続き)の部屋で、別棟2階の部屋<松の間>は、8畳+6畳(二間続き)の部屋と8畳(一間)の部屋があります。
菊水館 本館
茅葺き屋根棟の部屋<梅の間>は、6畳または8畳(一間)の部屋です。
菊水館 茅葺き屋根棟 雪
部屋はこんな感じ。戸は鍵付きです。
菊水館 梅の間
どの部屋にも風流な縁側があります。
菊水館 梅の間 縁側

部屋の設備・備品は、テレビ、電話(懐かしい黒電話)、冷蔵庫、お茶セット、エアコン、浴衣、タオル、バスタオル、歯磨きセット等、必要なものはひと通り揃っています。菊水舘の全ての部屋には、バス・トイレはありません。洗面台・トイレは共同です。トイレは洋式(ウォシュレット付)です。全巻Wi-Fi完備しています。
菊水館 共同トイレ
菊水館 共同洗面室

宿泊プランは、朝夕食の2食セットが基本で、梅の間の部屋宿泊で、1部屋2名利用時一人当り6,800円(税抜)~とリーズナブルな宿泊料金も魅力です。夕食メニュー内容により、様々な宿泊プランが設定されています。一部日程では、朝食のみが付いたビジネスプランもあります。
食事は、館内食事処(テーブル席)となります。個別宴会場(畳座敷)もあります。

菊水舘の温泉風呂は、総木造りの「南部の湯」。開放感のある半露天式(冬期間は夜間窓を閉めて内風呂になります)です。菊水舘宿泊者は、14時~翌朝9時まで夜通し入浴できます。
もちろん、山水閣・湯治部宿泊者も入浴可ですが、館外者は、夜は24時までです。

▼山水閣
近代和風旅館で、館内には、宴会場やカラオケルーム等の設備の他、大沢温泉の歴史を展示するギャラリーもあります。
本館と新館があり、部屋は全て和室で、総客室数は57室です。
山水閣 アプローチ
山水閣 館内

スタンダードな本館・川側の部屋は、10畳の広さで、川側に広縁があります。
山水閣 本館部屋

部屋の内風呂は檜バス。
山水閣 本館部屋 檜バス
トイレ(洗浄機能付き)付きです。
その他、12.5畳(一間)、12.5畳+4.5畳(二間)、10畳+6畳+3畳(三間)の部屋もあります。

基本プランの夕食は、部屋食で、メニューは月替わりの会食膳です。朝食はレストランでの和洋バイキングです。宿泊料金は、本館和室2名利用時一人当り14,000円(税抜)~となっています。夕食料理内容、部屋により、様々な宿泊プランがあります。日によっては、朝食のみが付いたプランの設定もあります。

山水閣の温泉浴場は、3カ所あります。
まずは、豊沢川の景色を楽しみながら入浴できる半露天風呂「豊沢の湯」。湯治部・菊水舘宿泊者も利用可能です。冬期はガラスが入り内風呂になります。
他に、山水閣宿泊者専用風呂があり、内湯・露天風呂「山水の湯」と、3室の「無料貸切家族風呂」があります。

湯治屋・菊水舘・山水閣の宿泊者、および外来入浴客は、旅館3棟の風呂を自由に湯巡りできますが、山水閣の「山水の湯」と「無料貸切家族風呂」は、山水閣宿泊者しか利用できません。逆に言うと、大沢温泉の全ての温泉風呂に入れるのは山水閣宿泊者のみ、さらに湯治部の「かわべの湯」は女性専用露天風呂ですので、3つの宿の6つの風呂と山水閣の貸切家族風呂の全ての風呂の湯巡りが可能なのは、山水閣宿泊の女性客のみ、ということになります。

▼日帰り入浴
「大沢温泉」の日帰り入浴は7時~21時(最終受付20:30)です。
受付入口は、湯治屋で、入浴料は、大人600円、小人300円です。
山水閣の「山水の湯」とk仕切り家族風呂以外の全ての風呂に入浴できます。
山水閣では、食事と部屋使用がセットになった「日帰りプラン」もあります。

豊沢川沿いには、他にも多くの温泉群が点在しています。大沢温泉の上流には、新鉛温泉、鉛温泉、山の神温泉、下流には、渡り温泉、志戸平温泉、松倉温泉と続きます。
この地域には、手ごろな料金でたっぷりと温泉と料理が楽しめる宿も多くあります。
絶景の雪見風呂を求めて、岩手花巻温泉郷の温泉旅へ出かけてみては、いかがでしょう。

(写真撮影日:2015年12月23日/2016年3月2日)





<2017年豊沢川沿い花巻温泉郷のおススメ宿>じゃらん口コミ評価4.2以上。
※表示の宿泊料金は、平日2名一室利用時の一人当り最安税抜価格です。
大沢温泉 「山水閣」(大沢温泉 1泊朝夕食付き) 14,000円~
※この宿の詳細情報は、別記事<大沢温泉 山水閣>をご覧ください。
大沢温泉 南部藩かやぶき「菊水舘」(大沢温泉) 1泊朝夕食付き 6,800円~
※この宿の詳細情報は、別記事<大沢温泉 菊水舘>をご覧ください。
●大沢温泉 賢治ゆかりの自炊部「湯治屋」(大沢温泉) 1泊食事なし(素泊まり)冬版 3,518円~  

●【部屋食かまど料理と17の温泉】結びの宿 愛隣館(あいりんかん) (新鉛温泉) 1泊朝夕食付き 10,601円~
●「藤三旅館・別邸」 鉛温泉 心の刻 十三月(鉛温泉) 1泊朝夕食付き 24,800円~
●【鉛温泉・藤三旅館】岩手花巻温泉郷(鉛温泉) 1泊朝夕食付き 7,350円~
●花巻温泉郷 山の神温泉 優香苑(山の神温泉 1泊朝夕食付き) 10,000円~
●渡り温泉 別邸楓(渡り温泉) 1泊朝夕食付き 13,000円~
●游泉 志だて(志戸平温泉) 1泊朝夕食付き 23,000円~
●湯の杜 ホテル志戸平(志戸平温泉 1泊朝夕食付き) 10,000円~
●悠の湯 風の季(松倉温泉) 1泊朝夕食付き 10,000円~



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